ホップステップジャンプでワンツースリー

ホップステップジャンプでワンツースリー

new worldへたどり着いくためのヒントです。


詳しくないものに突っ込む不義理には目を瞑っていただきますが、今回言いたかった一つはSSC(伸長短縮サイクル)というシステムです。

要するに力を最大限発揮させる方法として、一瞬筋肉を伸ばしてそこから短縮させた方が、静止状態から短縮させたときよりも優れているという説です。

これを見つけたのがリバウンドジャンプとの比較だったかな? ホップステップジャンプでいえば、ステップでの弾性エネルギーをジャンプに繋げることで高く飛べるというわけですね。

さて、なぜこんな話をするかと言うとですね。まあ長くなります。

昔々儂がまだ若い頃には何かわからないことがあるとググれと言われていた時代じゃった。
今の若い人たちには信じられないだろうが、まさに目から鱗で、Googleで検索すればたちどころに詳しい情報にアクセスできた。個人HPにしろ、掲示板のログにせよ、かなり精度が高かったはず。
これはバイアスがかかっているような気もするが、ネットリテラシーのネの字も知らなくても、怪しい情報が乗っているページは概ね見るからに過激か隠しきれない胡散臭さで、ある程度容易に判別できた。
今となっては僕の夢だったのかもしれないが、何かしらググると、だいたい上から公式ホームページ、個人のファンサイトというような順で、それなりまではまあまあ健全だったと思う。もっと色々調べようとすると、ゴシップやらアイコラにもアクセスできたからこれは思い出補正かもしれないが。

話が逸れたけど、今はググっても、広告ドーン!まとめドーン!キュレーションサイトどどーん!で話にならないんですよ!

また悪いことに昔(二世代前か一世代前かな?)バボラがrpmという名称をポリガットにつけて商品を出したものだから、もうね。勘弁してくれと。
5年くらい前はテニス rpmとググれば選手のスピンレートがわかったものですが、今やネット通販の雨あられ。たぶんですけど、世の中そんなにポリガットを通販で欲している人ばかりではないと思います。だいたいrpmブラストは張りたてはともかく、維持性能はあれなもんで、ホームストリンガーか、練習毎に張り替えるプロかハードヒットしすぎて一日持たないような人以外にはそんなにオススメされないんじゃないかと思うわけですよ。

話がそれました。僕は今、検索汚染が進んで良い感じのテニスの情報にアクセスするのが難しいこの世の中を嘆いているわけです。

例えば選手の名前でググればウィキペディア、最新ニュースの次にはキュレーションサイト!
最新情報を集めようと思ったら、今ではTwitterやら5chやらを上手く活用しないといけないのが現状ではないでしょうか。
Twitterや5chの使い方も難しい。Twitterでは広告系、ピンク系のbotが検索を邪魔してきますし、そもそも5chはクセが強く慣れないと情報を拾えないシステムです。

怒りにうちふるえた僕はコクランライブラリーを作るっきゃないとやる気にみちみちていたのですが、実はもうあるのです。

それを広く知らしめたいと思い、ブログを立ち上げとりあえず(無断)リンクをはります。
SEO対策のためと思って、無断である点についてはおおいに目をつぶって欲しい...
まずは日本テニス協会強化情報科学委員会blog!
http://jta-tss.blog.so-net.ne.jp/
次いでテニスフォーラム
https://sites.google.com/site/tennisforum1999/
これらのサイトでは論文をベースにわかりやすく情報がまとめてあります。

そして、今年は丁度30回の記念大会だったようですが日本テニス学会があります。
http://jsts.cc/wordpress/
30回がどうだったのかはわかりませんが、29回では現場との解離を防ぐためにエビデンスベースの結論考察とは別に、現場への提言を入れるよう指示してあります。これだけ柔軟性に富み、配慮されている学会なんてなかなかないのではないでしょうか。


このような素晴らしい取り組みですが、jta情報科学委員会のblogはだいぶ更新頻度が落ちています。
テニス学会も、記念大会の基調講演が元巨人の代走で有名な鈴木選手です。渋いチョイスですが、渋すぎてテニス関係者ついていけたのか?と心配になります。
毎度のごとく演題募集を延長しているのも寂しいところ。

悲しいことにどんなに素晴らしい仕事も評価されなければ埋もれていくのです。そこで、king of 太鼓持ちのこの僕が遅まきながら、テニス研究に愛を叫び倒してやろうというスタンスです。

そこで、ようやっと話が戻ってきました、戻ってきたのがSSCなのです。でもまた離れていきますよ。

さて。今回はテニスの研究を取り上げながら、宗教となりつつあるテニスの一般論について考えていきます。

まずは踏み込んで、体重移動しながら打つのか、軸回転で回転運動で打つのか、テニス雑誌やテニススクールのレッスンでは言うこと
がまちまちなはずです。これらについて科学の力でぶん殴っていきましょう。

スクエアスタンスの打法として、打球方向へ並進運動量を確保できるという点、ボールに対して擬似的に骨盤トルクが得られている点があげられるでしょう(これら根拠なしの仮説です)。ただ時速10キロメートルで前進しながら打つのと、後退しながら打つのでは単純に同じスイングスピードであれば前者の方がボールからの視点で見たとき+10キロぶん威力があると言っても良いのではないでしょうか?(根拠はありませんが)逆に後者では10キロぶん弱まると考えて良いと思います。

さらに根拠ある話をするなら、おかもと整形外科クリニックの増田清香らの研究(ジュニアテニス選手のストローク打法の違いによる腰椎および骨盤の運動学的差異)によれば、腰椎伸展角度がオープンスタンスと比べ有意に小さく、腰椎への負荷が小さいことが示唆されています。また、同研究では、オープンスタンスでは骨盤回旋角度と腰椎伸展角度に正の相関を認めており、骨盤回旋を強調しすぎないオープンスタンス打法の習得について触れられています。
奈良女子大学田中千尋らは並進運動とボールスピード打ち分けについての相関を報告しており(テニスのフォアハンドストロークにおける打球速度打ち分け時の運動連鎖特性)、スクエアスタンスにおける緩急をつけたショットの可能性が示唆される。
これだけみるとスクエアスタンス万歳ですね。オープンスタンス? 何それ? 使えへんやんと思ってしまうのもやむ無きところ。

ところが現在のテニスではほぼオープンスタンスでの打法が主流なようです。
個人的に試合の中でスクエアスタンスに固執するのはあんまり意味がないと考えていますし、逆に、すべてオープンスタンスで処理するのが最良で現代的なニューパワーテニスだと言うのも疑問です。(根拠なし、個人の見解です)

まずはボールの威力について。並進運動と打球スピードには相関がなく、スイングスピードと打球スピードにのみ相関があるとする早稲田百瀬らの研究結果(女子テニス選手のフォアハンドストロークにおいて、重心移動距離、重心移動角度、スイングスピードが打球スピードへ及ぼす影響)があります。ものすごく乱暴に言うと、体重移動は強い打球とは無関係で先程の田中論文とは正反対。さて、どうしますか?
権威主義的に著者の肩書きで見ますか?それとも日進月歩なこの世界、発表年度で見ますか?

まずはデザインを見るのが妥当でしょう。田中では腰の高さに吊り下げ、静止したボールで計測、百瀬はラケットによる球出しでの計測。ここでは再現性とか実験の妥当性とか何だかんだを無視して仮説を立てます。理想的な打点で最大限力を発現させるには、スクエアスタンスの並進運動を利用した打法が適している(田中論文)。ただし、動いているボールに対して理想的な打点で捕らえることはかなり難しく、結果的に相関が打ち消される(百瀬論文)。

極論、体重移動を後ろ足から前足へ時速10キロメートルで行い、スイングスピード90KPHで行えば、適切な打点に入れたときはボールに対するラケットのスピードは時速100キロメートルと捉えて良いのですが、動いているボールに対してそんなに上手くはいかないよ、というのがこの二つの論文から僕が引っ張ってきた仮説です。

 

オープンスタンスの優位性について考えてみましょう。

道上静香らのキネマティクス解析の報告(テニスのフォアハンドストロークキネマティクス的分析:クローズドスタンスとオープンスタンス打法の特性)によると、オープンもスクエアも肩角度の変化は有意差なく、上体の使い方は共通するとしている。

一方肩の捻じり角に変化を認め、スクエアはねじりが小さく並進運動主体、オープンは回転運動主体であることを推察している。

道上は以降もテニスに関する研究を続け、オープンスタンスの有利な点として、バックスイングとフォロースルーの期間が優位に短いと結んでいる。
他にもコートカバーまで考えるとオープンスタンス有利な報告が見られ、打球そのものよりも流れの中での優位性が強調されているように思う。(ちなみに論文タイトル忘れました!)

上記より、高速化した現代テニスにおいて、オープンスタンス打法が受け入れられていることは理にかなっているだろう。


さて、実に全く今さらではあるが、打球速度で計測している研究を引っ張ってきているが、妥当なのだろうか。僕は威力のあるボールと表記してきているが、打球速度がある=威力があるという図式は成り立つのだろうか?

村松憲らの報告(世界トップクラステニス選手のフォアハンドストロークにおける速度と回転量の関係について)によると、トッププロの試合を解析したところ回転量(rpm)=-33.2×速度(km/h) + 7878 という関係が得られたとしている。

この点から、打球速度と回転量には一定の負の関係性が認められる。
まあこの式だと速度が上がるほどスピンが弱まり、極端な仮定でラケット出しのボールスピードくらい、仮に50kmphだと実に6218rpmという、もうおよそテニスのストロークではありえない数値がはじき出されるが、そこには見て見ぬふりをしてもらおう。まあこれ試合中のデータだから。試合中に50kmphのボールなんてたぶんほぼ使わないから!

こうなると速度と回転量はトレードオフの関係であり、威力って何よという袋小路に入る。
とりあえずいりょくはひとまずおいて速いボールとスタンスの間には関係がないというところまでは言って良いのではないだろうか?駄目ですかね?

ボールの威力として、ほかにバウンスを考えなければいけないが、これはネットクリアランスと関係していると考えられます(根拠なし)。そうなるとスタンスの違いというよりかは、インパクト時のボールとラケット面の角度に依存すると考えられ(根拠なし)ラケットワークの問題ではないでしょうか?
威力と言えばボールの伸びでしょうか。滑るスライスのボールについてのみは報告があります。石川聖也らは入射角18°以下が滑るスライスと推定し(逆回転を帯びたテニスボールの運動解析と練習法提案)、回転量と減速率はあまり関係がないということだった。

伸び、跳ねについてはこれもひとまずおいておきましょう。
とりあえず今はスピードやスピード!

藤澤明子らの研究(テニスのストローク動作における関節トルク:頭上から見た水平回転運動の解析)では、フォアハンドにおけるボール速度と体格に関連性はなく、インパクト直前における最大ラケット速度との関係を見出している。要するにラケットを振れれば何でも良いのです。
そして各個人筋神経腱の走行は異なり、骨格も千差万別、さらに言えば、現実的には威力だけを求めるのではなく、安定性、流れの中で行える動作性も追及することになるなので万人共通、理想のスイングというものはこの世から消え去るのです。


さて、判で押したようにボールが浅い浅いと指摘する方がいるが、なぜそれが問題なのかを指摘する人はごくごく少ない。学習院大学佐藤の研究によればストロークの深さがこれから打つストロークの深さとの関連はないとしている(テニスの実戦におけるグランドストロークの深さの効果について)。

村松の報告によると、ボールマシンから出たボールが強い(速度、回転量が多い)ほど被験者のボールが弱くなるとしている(テニスにおいて「強い」ボールの返球は「弱く」なりやすいのか?ー大学生トップクラス選手における一例からの一考察ー)。

上記からだけで見れば、ショットdepthにこだわる理由はそんなになく、何も考えず速度の速い、回転量の多いボールを打ち込むことにのみ注力するだけである程度主導権は取れる。

が、ここで考えるのが減速である。テニスのサーブは初速では200KPHを超えるが、手元に来る頃には30~50KPH程度だと予想される。空気抵抗による減速、そしてバウンドによる減速のためである。(根拠なし)


そして巷で言われる、深さ、ショットdepthにこだわるひとつが、バウンドによる摩擦の減速の影響をなるべく小さくしたいという考えではないだろうか?
ただし今のところ論文はないので、これも仮説である。

いずれにせよ、速度の速い、回転量の多い「強い」ショットの実現のためにはスタンスによる影響は少ないと考えられる。スイングスピードを上げることが最も影響がありそうである。


そこで出てくるのがssc。短期間で強いパワーを出すためにこのサイクルを上手に利用して筋肉を最大限に働かせるためssc運動があげられ、テニスにおける報告はないものの、やり投げや投球、送球においてはそれぞれ報告(論文タイトル忘れました)がある。これらが大まかに言って回転運動に分類されるため、ある程度テニスのスイングについても影響を及ぼすと考えてよいのではないだろうか。sscトレーニングについてはすでに確立されており、具体的な例については元論文を参照していただきたい。

オープンスタンスにおける捻って戻す運動は単純に骨盤トルクを得るだけでなく、スイングと反対方向への筋肉の伸張をしているとも考えられ、バックスイングの短縮化に寄与している気がする。(根拠なし)
オープンスタンスとスクエアスタンスで打球に差はないだろうと仮説をたてたが、この機構が作用しているような気がする。勿論根拠はない。

そうは言っても、村松の報告とは異なり、現実的に最速のフォアがJブレークのサーブリターン時のもの(125mph)であるから、仮説はあくまで仮説。実際のテニスはテニスである。サーブは基本的に強いボールに分頼されるはずなので。
テニス学会もこの点は危惧しており、それが現場への提言という形で現れたのではないだろうか。

しかしながら、自分の経験に基づいたバイアスまみれの基準、なんとなく聞いたことのある言葉を並べただけの基準だけでテニスを評価することはナンセンス。
根拠なしで自説をどんなに煮込んでもその先には旨味はないのです。

古武術教とかふくらはぎの太さ教とか脱力教とかゆる体操教とかニューパワーテニス教とか態度に全て現れる教とか攻めろ教とかいっぱい宗派あるけれども! 宗教はあくまで宗教。
真理ではないのですよ。それにも関わらず、とくに後ろ二つ! 公共の電波でまるで真実語るかのように電波理論を垂れ流すのはオヤメナサイ。しかもそいつらはあの素晴らしい委員会の上役だったり、協会の強化副部長だったり、益々たちが悪い。

今サイトはきえたが、全豪オープンを持っているオーストラリアの協会はかなり詳しいデータを蓄積している。選手のショットのスピード、スピンレート、ネットクリアランスにバウンス、最高&平均移動速度。
あれは2017年全豪直後だったか。考察でフェデラー復活の要因としてバックハンドのネットクリアランスが低く、僅かにボールスピードが上がったというデータがあった。フェデラーのバックハンドは実はツアートップレベルのスピンレートであるというデータはその数年前全英オープンの時にまとめられていたので、それを踏まえての考察だったように思う。

このようにホークアイの導入でテニスというスポーツがどんどん理論的に解析されているなか、いまだに、今のは攻めていたから良かったなどと、攻め守りの二軸で良し悪しを解説している場合ではない。


テニスをポエムスポーツにするべきではない。しかし残念なことに、評論家や解説者にはポエマーが多いのだ。

上記で(勝手に)名前を上げた研究以外にも面白いテニスの研究はたくさんある。いつか日の光が当たりますように。