2018全米の残念な決勝

もはや何もかもが狂っている。

全米オープン、女子シングルス決勝。セリーナウィリアムズは男女差別と戦っていたと錯覚していたようだ。

結論から言えば大きな誤解だ。
コードバイオレーションはルールであり、度を越した違反はほぼ間違いなく運用される。
あそこまで堂々と暴言かまして主審に絡むとなると流石にあまり例がないのだが、違反が3回目であればゲームペナルティ。これはもう動かしようがない。
実際に近年では男子選手のディミトロフやクリザンがしっかりと受けている。
ディミトロフは、決勝のファイナルセット、0-5でそれをやって敗戦というトリッキーな所業。
大舞台だからといって、決勝だからといって配慮はされない。

ここまでは大原則であり、セリーナには一分の理もない。

この事について、不当な脅迫を受け、不名誉な謗りを受けている主審を手厚く保護しなければならない。カルロスラモス氏のプロフェッショナリズムは主審のロールモデルとしてあるべき姿なのだ。
さらにグランドスラム初優勝の大坂なおみもチャンピオンとして堂々と喜んでいい。

残念な存在はただ一人だ。

少なくともあの試合あの瞬間には一切合切関係ない男の存在を取り上げ、被害者の側に立ってやおら正義の牙を剥き出しにする姿勢は女王としては相応しくない。
セリーナは女子テニスをリードする、先のラモスさんのようにプロフェッショナルとして尊敬されるべき存在ではなく、ただ単にテニスの競技力が高いだけの選手であるということが浮き彫りにされた。
そしてそれは数年前から見せていた姿そのままであり、全くの成長や反省が無かったという悲しい現実である。

数年前、全米準決勝、クライシュテルス戦で追い込まれていたセリーナはフットフォルトを宣告した小柄なアジア系線審(日本人なのだ)に対し、身振り手振りを交えて激しく罵詈雑言を浴びせ、最後には殺害予告をしてバイオレーションからのポイントペナルティで敗戦している。
そのすぐ後、執行猶予中だった全米決勝ストーサー戦、同じように追い込まれてつつあったセリーナはポイントが終わる前に故意に威嚇して、バイオレーション。その後、主審へ対し案の定の罵詈雑言。
それからしばらくして、これである。
何も変わっていない。
ストーサーのグランドスラム初優勝を滅茶苦茶にしたときから一歩たりとも前進が見られないばかりか、男女差別を用いて正当性を強調する芸を仕込むあたりなど、さらにやり口が卑劣になってしまっている。

さらに問題なのがWTA、USTA の対応である。
人気選手であるセリーナの顔色を伺うばかりで、セリーナに対するしかるべき対応をとらない、さらに男女差別があった、ないしあった可能性があるとして調査するなどという腐敗っぷりを見せてくれた。
このたまらない腐臭が重鎮たちからひっきりなしに立ち込めるのだが、本当にこの団体は大丈夫なのだろうか?

以前シャラポワがドーピングを行った際には、薬学的にも医学的にも全く説明が付かない処方だったわけだが、WTAの重鎮はまずシャラポワの人格を保証するとかなんだとかの検討違いのコメントをせっせと出し、USTAは復帰後ランキングの足りないシャラポワに貴重なワイルドカードを発行し、飽きたらずセンターコートを提供した。
そしてお抱えのメディア達は寝言にも劣る理論展開からシャラポワの復帰を讃えた。

今回は、時代が移ったためかSNSを取り込みながら、あのような暴挙に一定の支持者を集めることに成功している。

狂っている。


ビリージーンキングのように男女同額の賞金だといって喜んでいる連中に進言するが、本当に差別を解決し、公平な世界を実現したいのならば、男子シングルスの展開のために簡略化された女子ダブルスの表彰式であったり、健常者テニスと車椅子テニスの賞金額の違いこそが問題である。
そもそも男女を分けること自体が差別だろう。同じドローで、正々堂々やりあってくれれば良い。
その結果として世界ランク1000位のなかに何人の女子選手が残るのか、楽しみである。


嫌味を言ったが、最後に大事なことをまとめる。

ラモス氏は主審として、適切な働きをしていた。
大坂なおみはセリーナをパニックに陥らせるほど圧勝した。